外眼部

外眼部名称

眼球外側(眼球の周囲を取り巻くそれに付属する器官)を外眼部といいます。

これらの部位や器官は、眼球への影響があり、視力低下、複視、眼痛、ドライアイ、流涙など、いくつもの症状を引き起こす要因となります。
外眼部手術や必要な検査等につきましては、お気軽にお問い合わせください。

眼瞼

眼瞼とは“まぶた”のことです。眼を外界から保護します。

まぶたを閉じたり開いたりする働きをする筋肉があり、まつ毛は異物が眼の中に入るのを防ぎます。まつ毛の根元には脂肪を分泌する腺があります。

眼瞼の形態の異常
  1. 眼瞼内反(内反症)
    まぶたの縁が内側に向いている状態で下まぶたに多くみられます。まつ毛が角膜をこすって痛みや涙、異物感を訴えます。
    原因は老化による眼の筋力の低下や、熱傷や外傷による瘢痕性などで、治療には点眼、眼軟膏の投与、重度の場合は、まぶたの向きをかえる内反症手術を行う必要があります。
  2. 眼瞼外反(外反症)
    まぶたの縁が外側に向いている状態で、角膜が露出している場合は充血や眼の痛みを訴えます。原因は老人性、瘢痕性、先天性などがあり治療には点眼、軟膏の投与、形成手術があります。
  3. 眼瞼下垂
    上まぶたが下がっている状態で、下がる程度が強い場合は(まぶたが視野を隠して)視力障害の原因になります。原因は先天性や、まぶたを挙上させる神経の麻痺、まぶたを挙上させる筋肉の障害によるものなどがあります。治療には、原因となる病気の治療や下がっているまぶたをあげる手術を行います。
  4. 睫毛乱生
    いわゆる「逆まつ毛」というもので、何らかの原因でまつ毛の方向が不規則になり、角膜にさわって傷つけ痛みが生じます。治療として、眼にあたっているまつ毛を抜去します。また、このまつ毛が恒常的に角膜に傷をつける場合などは、上記同様の眼瞼の向きを変える手術なども行います。
瞼の炎症
  1. 麦粒種・霰粒腫
    まつ毛の根元にある、脂肪を分泌する腺より、細菌に感染しておこるもので通称「ものもらい」といいます。症状は、まぶたの一部が発赤、腫れて痛みがでます。主な治療方法としては、抗生物質の点眼や眼軟膏の投与、抗生剤の内服投与などがあり症状が強い場合は切開し排膿させる場合もあります。
    ※霰粒腫は、カプセルがあり腫れがひきにくい場合が多々あります。炎症と腫れがひきにくい場合には、切開・摘出を行います(外来での処置が可能)
  2. 眼瞼炎・眼瞼縁炎
    眼瞼皮フが細菌に感染し、炎症を起こし腫れたものです。化粧水や目薬でかぶれることもあります。
  3. 眼部帯状ヘルペス
    この病気は、水痘帯状疱疹(すいとうたいじょうほうしん)ウィルスが感染したもので額やまぶたの皮膚に、三又神経の分布に従って発疹ができ、強い痛みがあります。
    特徴としては、片方の神経だけに出るので発疹が顔全体に広がることはありません。抗ウィルス薬で治療します。場合によっては角膜や結膜に潰瘍等をおこすこともあります。
その他
  1. 眼瞼線維痙攣(がんけんせんいけいれん)
    眼瞼の皮膚がピクピクとけいれんするのをいいます。疲れた時や睡眠不足の時によく起こるもので、たいていの場合自然に治癒します。
  2. 眼瞼痙攣
    眼が開けられない程の強い眼瞼けいれんをいい、最近では、ボツリヌス菌毒素による治療を行っています。

結膜炎

アレルギー性結膜炎

一般的にほこりやカビなどが原因となっていることが多く、猫や犬の毛などが原因になることもあります。症状は充血やかゆみ、瞼の腫れなど。
春季カタル・・・強いかゆみを訴えるもので、学童期~思春期に多くアトピー性皮フ炎を伴うのもあります。春から秋にかけて症状は強く、冬になると軽くなるのを繰り返します。

ウィルス性結膜炎(感染性のある結膜炎です)
  1. 流行性角結膜炎(はやり目)
    アデノウィルスが結膜に感染したもので、その名の通り周囲の人々へ感染します。
    症状は非常に強く痛みを伴う場合もあり涙や充血、異物感、メヤニが多く出ます。目薬で症状をおさえ、2~3週間で治ります。
  2. 咽頭結膜炎(プール熱)
    発熱やのどの痛みなど風邪に似た症状とともに充血を起こします。
  3. 急性出血性結膜炎
    エンテロウィルスが結膜に感染したもの。結膜の充血と出血を伴うのが特徴です。
巨大乳頭性結膜炎

主にコンタクトレンズの刺激によって起こります。
上瞼の裏にぶつぶつができ、コンタクトレンズを入れるとズレたり汚れやすくなります。充血やかゆみ、メヤニなどの症状がでます。

瞼裂斑

黒目の横の結膜にできた小さい黄褐色の少し盛り上がった斑点です。充血することもありますが、気にならなければ放っておいても害はありません。

結膜下出血

結膜(白目)の下の小さい血管が破れ、出血したものです。一見、結膜が真っ赤になり驚くことも多いのですが特に治療の必要はなく、出血は1週間程度で自然にひいてきますので問題ありません。
ほとんどの場合、原因ははっきりしておりません。

結膜弛緩症

下眼瞼のふちにゆるくなった結膜が、しわを作っている状態です。個人差はありますが、異物感や涙目などの症状が起こります。

翼状片

白目の表面を覆っている半透明の膜である結膜が黒目に三角状に入り込んでくる病気です。原因としては紫外線が関係しているといわれています。

自覚症状
  • 充血
  • 異物感
  • (症状が進行してくると)視力障碍
翼状片の治療

翼状片自体は悪性の組織ではなく、症状が気にならないうちは放置しても問題はありません。また、充血や異物感が強くなってくれば点眼などの治療を行います。
ただ、点眼などによる治療は根本的な治療にはなりません。根本治療には手術が必要です。また翼状片が瞳の近くまで伸びてくると乱視が発生し見えにくくなるため、この場合も手術が必要となります。

角膜

角膜とは黒目の部分を覆っている透明の膜のことであり、個人差はありますが直径は11~12ミリメートル、厚さは約0.5ミリメートルの無血管組織です。
角膜は非常に繊細な組織であり、表面に傷ができるとそこが白く濁り視力に支障をきたしたり、また周囲の結膜が充血を引き起こしたりします。

角膜炎

主な症状として痛みやメヤニ、充血などが生じます。
最近では、コンタクトレンズが原因の潰瘍性角膜炎などが増えています。その原因としては、細菌によるものや真菌によるもの、ウィルス性(ヘルペス等)によるものなどがあり、いずれも悪化すると失明の危険性があるので注意が必要です。

角膜上皮剥離

角膜の上皮がめくれてしまう病気で激しい痛みを伴います。起床時に突然激痛を感じることなどもあります。治療法としては、治療用コンタクトレンズなどを使用しながら痛みを軽減し上皮の再生を促します。

ドライアイ

涙は目の表面を覆い、目を潤し、目を守るバリアーとして働いています。ドライアイとは、何らかの原因でこの涙の量が減少したり、涙の質に異常をきたすことなどが原因で起こる病気です。治療法としてはその原因を取り除くことが基本であり、涙の分泌量が少ない場合には保水効果のある人工涙液でその量を補います。また、なかなか症状に改善が見られない場合には、涙の排出口である穴を塞いでしまうといった方法もあります。

円錐角膜

本来はなだらかな球面状である角膜の表面が、突出してしまい視力に障害をきたす病気です。そのほとんどは先天異常で、体内の弾性繊維の異常によっておこります。
角膜の中心部が飛び出してしまうので、角膜のカーブが不規則となり、どこにもピントが合わず視力低下がおこります。
軽度の場合、ハードコンタクトを装用することで視力の矯正が得られますが、進行するとハードレンズでは矯正できなくなり角膜移植が必要となります。

角膜変性

非炎症性の角膜混濁で角膜が脂肪化、石灰化するものです。

涙器

涙は常に涙腺で造られていて、目頭にある小さい穴(涙点)から涙小管を通って涙のうに入り、鼻涙管を通って鼻へ抜けていきます。
この鼻へ抜ける通路のどこかが通りにくくなったりすると、涙の作られる量が増えたり、涙は眼からあふれ出るようになります。また、逆に涙の作られる量が減ると眼は乾燥し、表面に傷ができたり充血したりという症状が現れます。

涙嚢(るいのう)炎

涙の排出路である鼻涙管がつまり、涙嚢内で細菌に感染して炎症を起こしたものです。症状は涙やメヤニが出たり腫れたりします。
治療としては、膿を出して涙嚢を洗浄します。急性の涙嚢炎は、抗生剤で治療します。

新生児涙嚢炎

鼻涙管の鼻への出入口に、生まれつき薄い膜が張っているために起るもので、涙が鼻へ抜けないので涙やメヤニを出すようになります。
抗生物質の点眼と涙嚢部のマッサージで自然開通を待つか、特殊な器具を用いて涙点から通し膜を破ります。

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