最新型の多焦点眼内レンズを厳しく評価してみる〜中間報告〜

最終更新日:2021年08月07日

東京オリンピックも後半戦、世間には色んな声があるみたいですが、私は純粋にいつも通り、日本代表を贔屓してスポーツ観戦を楽しんでいます。沖縄はTV放送局が少ないので、テレビで観られないものは画面14インチのiPadで観ており・・・観にくい!画面が小さい=文字が小さい!柔道は分かりやすいです、指導の黄色が何枚か、技あり2個か「いっぽん!」で終わりなので。体操やスケートボードの点数などは実に見にくい・・・いや、違いますよ皆さん、決して老眼のせいではないですよ!・・・いや老眼か・・・とほほ。私も四十半ば、眼科医とて皆さんと同じ人間なので、等しくちゃんと老眼はやってきています。
 
皆さんが不安にならないように、豆知識です。皆さんを診察したり手術したりする時に使ういわゆる顕微鏡は、覗き込むと皆さんの目が何倍にも拡大されて写りますので、私が老眼でもちゃんと細かいところまで見えています。そんなこと分かってる、って?すみません。
 
とにかく老眼の苦しみが私も本当の意味で分かるようになってきました。老眼に限らず、加齢に伴って
 
#できていたことが出来なくなる
 
というのはとても辛いことです。いつも申し上げていることではありますが三愛眼科は、
 
#人生100年時代の『見える』を守るために
#緑内障や糖尿病網膜症など
#症状が出ないために末期まで見逃されがちな慢性疾患の
#早期発見・早期治療
 
に力を入れて診療しています。それは、
 
#肉体的に衰えるのは仕方ないとしても
#病気では機能を落とさない
 
ことを目標に皆さんに適切な医療を提供し、人生100年時代に準備万端で向かっていただくことがとても重要だと考えているからです。同じ長生きするなら楽しい方が良いですもんね。私たちが多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術に力を入れているのもその一環です。
 
と、ようやく本題です。昨年末から当院が早期臨床研究施設としてジョンソン・エンド・ジョンソン社と協力して昨年から研究してきた新型多焦点眼内レンズ『Synergy®︎』について、年始までコラムで何度か書きましたが、以来全く触れておらず、訝しく感じておられる方もいらっしゃるかも知れません。このレンズを使い始めて8ヶ月が経ち『Synergy®︎』を用いて手術した患者様も増えてきています。ところが術後視力など経過にばらつきがあって何となく頭の整理ができずお話ししにくかったんですね。あくまで私の印象ですが、
 
#50代までの患者様は、術後すぐ最高視力が出る 最高視力1.2〜1.5
#60代半ばまでの患者様は、最高視力が出るまで1週間〜1ヶ月必要 最高視力1.2〜1.5
#60代後半の患者様は、1ヶ月くらいかかる 最高視力1.0〜1.5
#70代以上の患者様は、人によって異なる(最長3ヶ月)  最高視力1.0〜1.2
#元々乱視が強い人は、最高視力が出るまでに時間がかかる
 
といったところが術後視力についての現状でのマトメになります。そして気になる不快光視現象については、こちらから有るか?と聞けばほぼ100%「あります」と返ってきます。(詳しくは『最新型の多焦点眼内レンズを厳しく評価してみる ほんとの第1号患者様の声!』を読んでみてください)
 
眼科医は多焦点眼内レンズを選択するかどうかは別として、どういった眼内レンズを患者様に使用するのか、という患者様が生涯共に歩む相棒選びについて、ものすごく責任ある立場なので、三愛眼科ではたとえ短い時間であっても患者様が術後不満なく過ごせることを第一に、お一人お一人のライフスタイルに沿ってご提案させていただくよう心がけています。ですが私たちがどれだけ真摯に向き合っているか、などということは患者様にとって一時の安心にしかなりません。手術を受けられる不安でいっぱいの患者様にとって、自分の手術は果たして成功したのか?という疑問に分かりやすく答えられるのは、結局『術後視力』なんですよね。
 
ですので、先ほど申し上げたように
 
#年齢や術前の乱視などを原因として
#到達する最高視力、最高視力に到達する時期、が様々な
 
Synergy®︎』は少し満足が得られにくいのでは?と悲観的に予想していました・・・が、ここからが重要でして、意外にも術後の見え方に対して不満を抱かれることはほとんどありません。『最新型の多焦点眼内レンズを厳しく評価してみる ほんとの第1号患者様の声!』でご紹介した患者様に限らず、術後しばらく最高視力が0.8〜0.9程度しか出ていない患者様でも、
 
私『時間と共に視力は上がってきますので、心配しないでくださいね』
患者様『先生、私けっこう見えてるんですけど?』
 
みたいなやりとりになることがほとんどです。そして1ヶ月もすると、検査する日によってばらつきはあっても1.0以上出るようになりますので、
 
私『回復はゆっくりでしたが、ようやく1.2出るようになりましたね!』
患者様『うーん、よりハッキリ見えるかな、くらいで術後から見えてましたよ?』
 
数字の視力は出にくいのに満足度は高い・・・良い印象を持って頂けることは大変ありがたいです、ありがたいですけど説明がつきにくいのも困ります。何故なのか?・・・この『Synergy®︎』は『連続焦点型多焦点眼内レンズ』と呼ばれています。従来の2焦点型、3焦点型の個性が『得意な距離をよりハッキリ見せる』であるのに対して、『どの距離でも見えにくいところが少なくなるように計算されている』ため、患者様自身が見えにくさを自覚することが少ないのだろう、と今は思っています。
 
まだ結論は出ませんが、私のハテナマークはともかく患者様の満足度が高いのは確かです。正直なところ、春先くらいまではどうなることやらと背筋が寒くなる事も多々ありましたが、今は自信を持ってお勧めできるようになってきました。元々素材と術後視力に定評がある単焦点レンズの兄弟分ですから。
 
今回のコラムは、多焦点眼内レンズを使ってもらうかどうかで悩んでおられる患者様が読むんだろうなぁ、と意識して少し堅い内容になりました。どれだけ情報があっても安心には至らないと思います。安心するどころか、調べれば調べるほど不安が増すことの方が多いと思いますが、結局は主治医の先生を信じるのが一番、というのが私からのアドバイスです。
 
情報が溢れているこの時代に、どう話をすれば皆さんに安心して医療を受けてもらえるか、ということに答えは出ません。第一印象を信じて、不安に思っていることはちゃんと質問して、良い手術をしてもらって、是非ともハッピーな人生100年を獲得してください。
 
私はせめて参考になりそうなエピソードを皆さんにできるだけご紹介します、では。
 
三愛眼科院長
樫本大作

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