シリーズ『危うく失明、危機一髪』エピソード2

最終更新日:2020年11月16日

私のコラムを読んでくださっている皆さん、たった今、左手で左眼を覆ってみて下さい。うん、そうですよね、両眼で見ている時より僅かに左端の視界が狭くなリましたよね。今度は右手で右眼を隠してみて下さい。そうです、今度は右端の視界が少し狭くなったと思います。(この時点で違う印象を抱いた方は眼科に直行して下さい!何か病気がある可能性が…)

先ほど皆さんに試してもらったように、急に視界を遮られたりすると流石にすぐ気付くのでしょうが、毎日少しずつ、ほんとに少しずつ端の方から視界が減ってきたとしたら?
 
生物には生まれつき適応力というものが備わっています、よく勉強されている方は緑内障などで視野が狭くなってきた場合に、脳が不自由な情報を自動的に補ってマヤカシの視力を創り出していることをご存知だと思います。そういった具合に日常生活の上で不自由を感じないよう勝手に適応させていくんですね。
 
今回はそんなありがたくも迷惑な賢い脳のせいで発見が遅れた患者様のお話です。
 
初めて当院に来られた時のこの患者さんの視力は、右眼が「20cm指数弁」、左眼は1.2でした。「20cm指数弁」というのは聞き慣れない言葉と思います。「目の前20cmの距離で指を出されて、ようやく何本指を立てられているか分かる程度の視力」ということです。
 
この患者様が最初に違和感を覚えたのは当院に来られる半年ほど前のこと、ただの違和感と放置しているうちに段々と気にならなくなったそうです。ところがある朝、急に違和感がぶり返し左眼を隠してみたところ、右眼が全く見えなくなっていることを知り、慌てて当院に駆け込んできた、という事情でした。
 
広角眼底カメラで撮った写真をお見せしますね。(写真1)が右眼、(写真2)が左眼です。
 
(写真2)の*マーク部分、黒く写っている部分は気にしないで下さい。目やにとか白内障とかドライアイとか、網膜に届くまでに光が通りにくい理由があると、こういう写り込みが出ちゃいます。右眼と左眼とで様子の違う部分があることにお気づきでしょうか?

(写真3)↗︎部分に網膜の裂け目があり、点線部分が網膜剥離を起こしているんですね。半年という時間をかけて写真左上から徐々に徐々に網膜剥離が進行してきて、視力を司る最重要個所である「黄斑部」に網膜剥離が及んだ為、患者様の違和感がぶり返してきたのでしょう。
 
網膜剥離という病気に対しては、かなり初期で見つかった場合に限ってレーザー治療を行うこともできますが、なかなか初期で見つかる幸運な人は少なく、大抵の場合は手術治療になります。また「黄斑部」が剥離しているかどうか、というのは眼科医であれば息を呑む一大事でして、「黄斑部」が網膜剥離を起こしていると、手術がうまくいって病気は治っても、「見えにくい」「歪んで見える」など後遺症が残りやすくなります。
 
無事に一回の手術で治すことができたのですが(写真4)、手術後半年経っても視力がどんなに頑張っても0.5までしか出ません。もちろんまだまだ回復の余地はあり、一度「黄斑部」が剥離したせいで回復に時間がかかっているだけだと思います。

 
皆さんも何かと忙しくなってくる師走を前に、三愛眼科からのお願いです。
 
歯が痛かったらすぐに歯科に走って下さい!
お腹が痛かったらすぐに内科に走って下さい!
眼は…痛かったらもちろん、痛くなくても違和感を感じたら眼科に走って下さい!
 
「仕事が落ち着いてから」「正月の準備が済んでから」眼科受診をしても大丈夫な眼ですか?まず右手で右眼を隠してご確認を。
 
三愛眼科院長
樫本大作

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